リフターコラム

俺はグレート♪ 第2部/再挑戦の誓い

90キロ級世界男子パワーリフティング選手権第2位/3回(84年、85年、87年)日本介護スポーツ研究所  代表 前田都喜春

 

 回復原理4;基礎代謝を高めて・・・、脂肪を燃焼する・・・。
筋肉は白い筋肉(瞬発筋)と赤い筋肉(持久筋)の2つある。基礎代謝を高めるには白筋と赤筋のどちらが関与するか・・・。脂肪の燃焼はどちらに関与するのか・・・!?

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 まず、基礎代謝(最低限の代謝)に入ると、大きな力を使う機械的エネルギー(白い筋肉)は使われないから、毛細血管の半分は閉じて血液を流していない。つまり、エネルギー消費はゼロになる。一方で、日常的な諸動作を支配する赤い筋肉は、常に助走していることや寝ていても血液を流している臨戦態勢から、基礎代謝に入ってもエネルギー消費を伴う・・・。
つまり、赤い筋肉は安静時で寝ていても血液を流しているエネルギー消費の高い状態を作り出し、旺盛な血液循環が基礎代謝を高めて、食べても太らない体質や肥満防止に貢献したり、生涯健康や介護支援などを含めて、全てのスポーツの受け皿になる周到な準備を形成する。
次に、脂肪燃焼とケトン体(酸性)の動員について
生体のエネルギータイプは2つある。生まれたときから動き続けている内臓のエネルギーは「脂肪」が使われ、筋肉のエネルギーは「糖質」が使われる。つまり、脂肪の燃焼は運動とは直接的に関与しない。運動すると血液循環が起こり、内臓がフル稼働することで脂肪を分解し一定量のケトン体を動員するシステムが動き出す。(しかし、ケトン体は酸性である。)
つまり、脂肪の燃焼は食事供給に関係なく、血液循環が不可欠であること。内臓がフル稼働すると脂肪が分解され、ケトン体が動員されるシステムで脂肪を燃焼する。故に、心臓が動く時間が長いほど、脂肪燃焼の割合が高くなることを意味する。
酸の処理問題;生体は生きるための作用から脂肪を分解し、酸(CO2)を血中に放出して水液と一緒になって炭酸(弱酸性血流、PH≒5.6)を作り、末梢血管に滞留して血管細胞に悪さをする。つまり、「正常な代謝で一定量の酸を産生する」酸性体質に陥り、「ヒトは血管とともに老いる現象」が生まれる。筋肉細胞は、このままでは生きていけない。

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 運動の効果;筋肉を動かすと血液循環が起こる。運動すると酸素を消費しながら運動を続けその需要を満たすために血中のヘモグロビンに酸素を吸着して運ぶので血液循環が起こる。つまり、運動の役割は血液循環を起こし、中和作用により老廃物を排除する重要な作業になる。
一般に、運動により血中の酸素が消費され、筋肉中に乳酸や二酸化酸素CO2が増大すると大腿骨の栄養静脈からアルカリミネラルの流出が増大する。激しい運動の場合は2次的に血流量が増加するような運動そのものが骨血流に影響すると言われる。
このような骨血流の増進により、末梢血管に滞留する弱酸性血流(PH≒5.6)と中和して筋肉細胞はミネラル恒常性を保ち、代謝を促進し、疲労回復する。
故に、運動を放棄したり寝たきりになると、体内の老廃物は排除されず(代謝は起きず)、筋肉細胞の後退が起こる。・・・寝ているだけで病気になっていく原理も分かるであろう。

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 筋肥大と骨化の関係;運動器の役割はもう1つある。血液循環+中和作用からミネラル恒常性を保ち代謝が促進すると、「筋肥大=骨化」の環境は同意となり、所期の目的を達成する。
生体は骨形成が重要な課題である。骨化の環境が整備されると「大量の酸と少量のアルカリを消費して骨の癒合が促進される」ので酸の溶解平衡が増進し、尿酸(リン酸・硫酸)が低下して、疲労回復が促進する。つまり、スポーツマンは骨が丈夫だという原理を実証し疲労回復の真実が分かる。ここに、血液循環は停滞すれば病気で、止まれば死である・・・。
 

 

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