リフターコラム

俺はグレート♪ 第2部/再挑戦の誓い

90キロ級世界男子パワーリフティング選手権第2位/3回(84年、85年、87年)日本介護スポーツ研究所  代表 前田都喜春

 

(3)回復力の再挑戦

再挑戦の誓いは下記の4つのテーマとなった。年齢的にもゼロから出発する最終課題となる。


①.足つり現象
実は、10年間のブランクを経験して生体には大きな変化を伴っていた。それは、夜、寝ているときに、指のこわばり現象や腓返り(足つり現象)が頻繁に起きていたこと・・・。
これらの原因は、10年間のブランクにより、髪の毛よりも細い毛細血管の減少・消滅が起こり、代謝機能が低下して老化・衰退化を早めることになった。その過程が10年だった。
運動の放棄で毛細血管の減少・消滅過程に入り、さらに、安静時の代謝になると大きな力を使う機械的エネルギーは使われないから、毛細血管の半分は閉じて血液は流していない。つまり、白い筋肉は休眠状態に入る。これで体温の低下がより大きくなり、代謝が低下した。
高齢者の運動不足や寝たきり状態になると、常にこのような閉塞状態が起こり、運動しないことの不利益がはっきり分かる。(指のこわばりは、目が覚めて吻合が始まると消える!)

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 第1に、活発に動く組織は体温が高く、動きの少ない組織は体温が低いため、酸素の発酵が進まず、代謝が低下して、指の硬直や腓返りという筋肉細胞が悲鳴を上げる現象が起こる。
このとき、消滅した毛細血管は安静時になるとさらに2分の1に低下するから体温の低下が激しくなって筋肉細胞は「正常な代謝ができない」と悲鳴を上げる。・・・下腿三頭筋の老化だ。
第2に、運動しない不利益は細胞の悲鳴を共鳴する。しかし、運動を再開すると旺盛な血液循環により量的代謝が進み、この足ツリ現象は自然消滅していった。運動再開により血液循環を伴い毛細血管は太く丈夫になるから、体温の低下を防ぎ、細胞の悲鳴は回避されたようだ。

 ②.中6日休養の短縮作戦
運動しない不利益は物理的側面から毛細血管の減少・消滅が起こり、体温低下や代謝の低下が起こるから、例えば、若い日々には「中2日の休養」で日程を組んで十分に回復していたが10年間のブランクを経て再挑戦したときには、毛細血管は減少~消滅過程に入り、回復力は恐るべき低下し、確実に老化・高齢化してきた。回復力は「中6日の休養」という現実の壁にぶち当たっていた。このような回復力ではまったく練習できない状態が起こり得たのである。

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 その1;回復力を奪回するに当たり色々模索していると、血液循環の有効性を察知し「足湯」を使って血液促進したところ、「中4日の休養」で練習可能なことが分かってきた・・・。
そこで、効果があるならば足湯を長時間浸かっていると(1時間から2時間)、より効果的だろうと試してみると、結果はその逆となり、じっとり汗が出るのは20分~30分で最も効果は高く、1時間や2時間になると内臓疲労が激しくなり汗は出ず、腎臓疲労が顕著となった。
その2;この足湯全体の効果を見ると、回復力は短時間の血液循環に関与することが分かった。しかし、これでも往年の「中2日の休養」にはほど遠く、練習頻度を確保できない状態が続いた。ふと、フル・ギアの練習形態を見ると、ニー・バンテージで膝を縛りスーパースーツでボディを固定する緊張状態から記録が伸びるのは、一体、何が作用するのかと考えてみた・・・。
すなわち、バンテージやスーツの物理的効果の他に、血液循環を阻止する何かの要因があるのではないかと研究した。
つまり、ニー・バンテージやスーパースーツの効果とは予め負荷を与えて、苦しい状態を固定するプレ・ストレス法と同意であるから、例えば、チューブで腕の付け根や足の付け根を縛り血液を制約したらどうかと実行してみると、この自問自答により、ようやく結論は出てきた。それは驚くべき効果で、若き日々と同じように「中2日の休養」で練習再開が可能となった。

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→第4回 回復力 後編

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