リフターコラム

俺はグレート♪ 第2部/再挑戦の誓い

90キロ級世界男子パワーリフティング選手権第2位/3回(84年、85年、87年)日本介護スポーツ研究所  代表 前田都喜春


(4)次世代を継承する若きリフターへ
初心者のトレーニングは全面性を中心にして体づくりが行われるが、初心者はややもすると焦り、気持ちが先行して、トップリフターのエキス分だけ取り入れて、さらにサプリメントの怖さを知らずに「これを飲むと強くなる」と教えられて、そのエキス分を早く取り入れて一時的に素晴らしい記録の伸びがあろうが、栄養剤汚染の虜になると次のステップが途切れてしまう怖さが同居する。
若い人々はエキス分だけを取り込んで1/3の期間で全てをマスターしてしまう。しかし先人達のエキス分を全部使い切ったときに悲劇は起こる。いざ壁に突き当たったとき、強化という財産が皆無であることやサプリメントの怖さ、体調異変の大きさに気づくであろう。
いわく、記録は伸びないし、面白くない場面に遭遇して、素晴らしいパワーリフティングの世界から離れていくケースが見られる。スピードアップの現代では、上達も早いが下降も早い結末となって,逆効果となるケースが多いのは栄養剤汚染の世界であろうか・・・!?

***


長寿国日本と生涯健康スポーツの取り組みでは、40歳・50歳はまだヒヨコで・・・、60歳の先人達が多くの技術を伝承する仕組みで繁栄している。
何時の場合でも、地道にコツコツと努力して基礎体力を作る。焦らず、少しでも軌道に乗ると急激に発展するから、若い人々は最初からサプリメントを手に入れなくても・・・、立ち上がりは遅くても。。。、基本的な体力づくりに専念していけば十分に財産は得られる筈だ。
しかしトップリフターと若手との間が一向に縮まらない。焦る・・・。才能ある若手が途中で挫折してしまうケースが多い。その理由の1つに、サプリメントを使い切り、内臓疲労が起こり出すと、強化という財産がないことに気づいて腰砕けになってしまうからであろう。
例えばパワーリフティングは体の弱い人や運動不足の人たちが強くなりたいと取り組み身体を丈夫にしたいからと自分のレベルに合わせて出発できるところに利点がある。しかし、強くなるにはそれなりの強化をしなければ、この世界では生きていけない。
その結果、力の成長過程を伴うと強く逞しくなり、次第に日々の生活基盤に自信が湧いてきて有為な人生が構築できるようになる。


◇◇◇

 パワーリフティングが歴史上に登場してまだ30有余年。しかし、トップリフターの引退は間近い・・・、初期時代は終わろうとし・・・、技術の伝承という空間が必要となってきた・・・。
例えば筆者の持つ記録(昭和の大記録と言われる・・・!?)は
90キロ級でSQ=350キロ、DL=327.5キロ、T840キロ。100キロ級でSQ=350キロ、DL=330キロ、T842.5キロは酒飲み時代にノン・サプリの信念で構築された強化という財産を土台にして作り出された。それはアミノ酸全盛時代の昨今においても、未だに破られていない記録だから・・・、ナチュラルな体で打ち出された金字塔であるからと高く評価されている。
本競技にコスチューム類が登場してから20数年、ニーラップやスーパースーツの素材も今と昔では異なり、ベンチTシャツもなく、竹やりが鉄砲に打ち勝ったぐらいの凄い事実だからこそ、昭和の大記録という高い評価を示してくれるのであろう。
その中でも
「SQ=350キロ」に挑む若人は後を絶えないが、サプリメントに浸かった内臓疲労系にしかチャレンジャーがいないことが寂しい限りだ。それでは俺はグレート♪伝承と言い切れるかどうか・・・!?

その過程では、酒飲みの後遺症は中性脂肪の増加から血管閉鎖を誘発し、狭心症や指のこわばり現象が起こり、五十肩、六十肩で肩が上がらず、肩の血管閉鎖から指のしびれ現象が交錯している。存続機能の役割を果すには、動かなければ衰えていくし、動き続けなければ生きていけない現実面に到達した・・・。活発に動く組織は温度(=筋肥大)が高く・・・、活発に動かない組織は(=筋肥大)が低い・・・。これが特異性の理論の真実である。
この63歳の老骨が若者に負けないように荷車引きの効用から生まれた人生に再挑戦を誓うことは、ことパワーに関してはまだまだ若者に負けてはいられない反骨心と技術の伝承という側面をパワーリフティング人生に託しているからである・・・。
動き続ける組織は腐らないが、動かない組織は腐ってしまう・・・。この現実からは誰も逃避できない。老骨のリフターが動きを止めることは生きていけない現実に直面するから、だから恒久的にスポーツの必然性は高まり、個々の努力が生活面に生かされてくる現実の姿だと言えよう。最後は、
頭も筋肉もトレーニングだ・・・。

 (第2部;再挑戦の誓い/完)


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