リフターコラム

俺はグレート♪ 第2部/再挑戦の誓い

90キロ級世界男子パワーリフティング選手権第2位/3回(84年、85年、87年)日本介護スポーツ研究所  代表 前田都喜春


②.短縮型への応用
社会人になると時間的余裕がないから、全12週の日程作成は基本的に無理なときがある。
そのとき、瀬戸際となる「6週前の追い込み型」で最高の状態に持っていく効率性を採用し、そのためには、前述のように、毎日鍛える赤い筋肉の役割が事前の準備段階として重要になる。
つまり、第1次予防として日頃から周到に準備しておけば、常に助走している臨戦態勢を構築し、いつでもトップスピードに合流できる利点を打ち出してくれる。
このように、多忙なときほど全12週のうちの全ての期間が必要ではなく、『約6週前から~試合までの追い込み期間』に精神と肉体を集中させて、「勝つ執念」を優先して精神的高揚に耐え得るべき肉体的強化に専念すると、その結果は自然と出てくるであろう。

③.勝つ執念と精神的高揚の役割
さて、6週前から~の追い込み期間は、勝つ執念と精神的高揚を高める重要な期間である。
この短い期間で成功するには、毎日鍛える「赤い筋肉*2セット」の先行投資が重要となり、臨戦態勢を高めて、体調維持と第1次予防に留意しながら、来たるべき高負荷トレーニングにどれだけ耐えられるかを実践する。
その中でも、肝や一般細胞が疲労するような事態(自己管理の怠慢)は絶対避けねばならない。例えば、タバコは回復を遅らせる最大の疲労物質であるから、終生ご法度にする。酒は肝臓の回復力を著しく阻害する根本原因であるから、この時期(最低6週間)は不要物質とみなして一切手を出さない。
また長距離運転も視神経から眼底疲労が蓄積するので回避しなければならない。試合場へ長距離移動する場合、選手は運転してはいけない。回復力に対する細かい配慮と周到な準備こそ、意識の高揚と選手寿命を伸ばす特効薬であり、記録を向上させる大きな要因になる。

④.筋力と持久力
医療で言う第2次予防は専門分野(医師の判断領域)の対症療法である。では、第1次予防とは何か・・・。日頃から病気にならないように、あるいは周到な準備をして臨戦態勢を敷いておく危機管理と自己責任の分野になる。
つまり、筋力の養成とはトップスピードを形成する白い筋肉の専門分野になり、同一箇所を連続して鍛えられないことや、『中2日の休養』を取り入れて超回復を優先させることなど、毎日、規則正しい生活リズムで練習することが筋力の成長過程に一番に反映されてくる。
一方、毎日鍛える「赤い筋肉*2セット」の先行投資は、臨戦態勢を高めて、日頃から体調維持に留意する危機管理や自己責任の領域となり、日常的諸動作の持久力アップ作戦となる。
つまり、毎日の運動から日々の生活リズムを作り、血液循環や持久力の容量アップ作戦から量的代謝が促進され、回復力が増大して、常に助走している準備態勢が生まれて、故障が少なくなる最大の貢献度を示すことが分かった。
毎日2セットの運動効果は10年前では考えられなかった。しかし、普段はそんなに練習していなくても、いつでもトップスピードに乗っていける臨戦態勢の高度化を作り出し、新しい試みとして赤い筋肉の周到な準備を認識できる効率的な方法を構成できるようになった。

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