管理人コラム(2015年3月2日)

脚型デッドリフトと背中型デッドリフト

デッドリフトのフォームを大別するとワイドスタンスとナロースタンスに分けられますが、それと同じくらい大事なのが、脚力メインで引くか(脚型のフォーム、ワイドスタンスなら台湾デッドと呼ばれる)、背中の筋力メインで引くか(背中型のフォーム、ぶっこ抜きデッドとも呼ばれる)ではないでしょうか。

同じワイド、ナローデッドでもよく見ると写真のように背筋を伸ばしている脚型の選手と背中を丸めている背中型の選手がいる事がわかります。

脚型


背中型
今回はこの二つのフォームの違いについて書こうと思います。



脚型デッド(含む台湾デッド)とは

脚型のフォームとは、胸を張って骨盤を前傾させ腰を落とし上体を直立気味にして引くもので、背中より脚力に依存したフォームとなります。
長身選手の場合ファーストプルの姿勢が腰を落とし過ぎの無理のあるものとなり高重量を挙上するのは難しくなりますが、身長があまり高くない選手や、身長が高くてもリーチが長かったり脚力が非常に強い選手はこちらのフォームが有効となります。
脚型のデッドリフトでも特に極端なワイドスタンスと組み合わせたものは「台湾デッド」と呼ばれており、ナローやミディアムスタンスであっても身体の使い方が同じであれば台湾デッドとは同じ系統に属するフォームと言えます、また、一見台湾デッドに見える極端なワイドデッドでも猫背で背中の筋力を中心に引いていれば全くの別物と言えます。
台湾デッドの名前の由来は元々台湾人選手がこのフォームを得意としていた事からで、近年はインドネシア人選手も台湾人選手以上にこのフォームを使いこなしています。
日本人選手でも軽・中量級の日本記録保持者には台湾デッドかそれに近いフォームを採用している選手が多くなっています。

(動画)2014年12月に開催されたアジアオセアニアクラシックではインドネシア人選手達が台湾デッドで世界記録を連発しました。


脚型のデッドリフトの特徴

このフォームは最初から胸を張りある程度肩を返した状態で挙上する為セカンドプルで詰まる可能性は低く、ファーストプルで浮かせてくる部分が一番のポイントとなります。
また、浮いてしまえばフィニッシュまで粘る事が少ないのでグリップが外れにくいという意見もあります。
背中の前傾が少ない点は腰の負担の軽減するのに有効ですが、ボディビル的な観点から見ると背中への刺激が少なく一般的なデッドリフトでイメージされるような背中の筋肥大を目的としたトレーニングにはなりにくいと考えられます。



背中型(ぶっこ抜き)デッドとは

あまり背中を立てず軽く猫背気味にして腰高で挙上するフォーム、どちらかといえば背中の力に依存したフォームで俗に「ぶっこ抜き」とも呼ばれています。
ナローデッドの選手は大部分がこちら寄りのタイプとなり、ワイドデッドの場合は体型や体格、脚と背中の筋力のバランス等でフォームは決まってきますが、長身選手は基本的にこちらの方が高重量を挙上しやすいでしょう。


四肢が長く胴体の短い黒人選手には特に極端な背中型デッドリフトの選手が見られます。


背中型のデッドリフトの特徴

パワーリフティング的な観点から見れば、脚型デッドと違い体型体格に関わらずどんな選手にも有効で万人向けのフォームと言えます。
また、こちらのフォームは背中の筋力をフルに使う為背筋を発達させるのに効果的で、背中の筋肉の発達を目的にデッドリフトを行うボディビルダーの方々を見ているとやはりこちら寄りのフォームが多いと感じます。
しかし、背中の筋力を中心に引くフォームは重量が限界を超えて重くなるとファーストを浮かせる為により腰高の背中が曲がったフォームになりやすく、これが度を過ぎれば故障のリスクが高まります、そういう点では注意の必要なフォームだと考えられます。



背中型のフォームの選手が台湾デッドに矯正するのは可能か?

近年はリーチの短いアジア人でもデッドリフトを得意種目とし世界記録を樹立するような選手が増加しており、その殆どは極端な脚型のワイドデッド(台湾デッド)の使い手である為、日本人でも台湾デッドを試みる選手が増えています。
では元々背中型のフォームの選手が台湾デッドを会得するのは可能なのでしょうか? これに関しては背中型のフォームだった筆者(身長172cmでリーチも同程度)が一年ほど台湾デッドのフォームを練習してみましたが、やはりMAX近くになるとどうしてもファーストプルが浮いてこず、背中型のフォームの重量には及びませんでした。
今後もし脚力を大幅に伸ばす事が出来れば台湾デッドで高重量を引く事も可能になるかもしれませんが、現時点では難しいと感じます。
台湾デッドの使い手の選手から話を聞くと、最初から自然にそのフォームがやれたという選手が殆どであって、ぶっこ抜きから台湾デッドに矯正して成功した選手というのはいなくはないですが少ないです。
台湾デッドは体型体格の適性と強力な脚力という条件を満たした選手以外には難しいフォームであり、万人に出来るものではないという事を理解しておくのもフォームで迷わない為には重要だと考えられます。





ページのトップへ戻る
inserted by FC2 system